『男性』不妊

不妊と聞けば女性不妊をイメージするかもしれませんが、男性不妊もきわめて一般的な症状です。このブログでは男性の不妊についていろいろと紹介します。

男性不妊のタイプ

男性不妊についての認知が進み、インターネットで調べればある程度のことはすぐわかる時代になりました。本ブログでは他のブログでも散見されるような内容を極力避けるつもりですが、基本的な事項について簡単にご紹介します。

 

男性不妊を大きくわけると、

精子の状態がよくない

②射精できない

精子が(ほとんど)いない

以上の3通りになります。①は精子がいるし射精もできるが、精子の状態がよくないため受精に至らないパターンです。②は状態のよい精子がいたとしても射精障害により、膣内射精ができないパターンです。条件付きの射精障害など人それぞれです。③はそもそも精子が正常に作られない状態で、受精可能な精子が(ほとんど)見つからないパターンです。本記事ではもっとも一般的な①の「精子は一定数いるが状態が悪い」について詳しく説明します。

 

精子のパラメータのうち、妊孕にとって重要なのは量と質です。これは直感的にイメージできると思います。

 

まず、量ですが、当然精液が多ければそのぶん精子数も多い傾向にあります。当たり前ですよね。そして量だけは、医療機関で診てもらわなくとも射精すれば自分でおおよそ目視確認できる唯一のパラメータです。

私は精液量が比較的多いし、性欲もおそらく強いので、いわゆる「精子力」も強いと思っていました。といっても精液量や性欲について他人と比べる機会はなかったので絶対的な観点からですが――他に飲酒・喫煙の習慣もないので、精液所見もいいだろうという自信がありました。

しかしむしろ重要なのは濃度で、濃度が薄ければ精液量の割に精子数が少ないということはありえます。

 

(具体例)精液が5mlあっても、精子濃度は10*100万/mlの場合には、精子数は50*100万/mlにしかなりません。他方で、精液が2mlしかなくとも、精子濃度50*100万/mlあれば、精子数は100*100万/mlですから、さきほどの倍の精子が含まれていることになります。

 

私の場合も、精子濃度が26-48*100万/mlと低い数値が出ています。WHOの基準では、40*100万/ml以上というのが最低限の目安ですので、これより低いと注意が必要です。精子が欠乏しているということから『精子』と呼ばれます。

 

次に質です。これは主に運動率や奇形率を基準に判定されます。つまり、動いているか、正常な形か、ということです。さらにいえば動いていてもまっすぐ前に進めているか、ということも重要です。元気な精子でもぐるぐる周回していてはあまり意味がありません。

私の精子は運動率のほうも悪く、28-39%程度です。WHOの最低限の目安で40%ですから、私の場合乏精子症よりも、運動精子数が少ない『精子無力症』のほうが深刻だと言えます。

 

以上の二点からわかるように、受精に辿りつける可能性が十分にある精子というのはほんの一握りなのです。精液量があっても、精子がいないといけません。仮に精子がたくさんいても、運動していて、まっすぐ進んでいる個体が多くないといけません。しかも奇形率が高くてもいけません。こういった条件をクリアできる精子だけが、受精までたどり着ける可能性を持つ(スタートラインに立てる)のです。逆にこの条件をクリアできなれけば、予選落ちという感じでしょうか。私たちはこの予選を難なく通過し、そして本選において一位となることで生まれてきたわけです。